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慢性的な炎症をもたらすTNFαとは

免疫にかかわっている物質はいろいろありますが,大きな役割を担っているのが「TNFα[ティーエヌエフアルファ]」と呼ばれるたん白質です.
TNFαは,免疫や炎症に関係するサイトカインの一種で,生体を防御する上で大切なはたらきをしています.しかし, TNFαが過剰に放出されると,サイトカインのバランスが崩れて病気を起こすようになります.
乾癬の病巣では,このTNFαが大量に作られており,皮膚の慢性的な炎症引き起こしています.

治療メモ(TNFαの作用)
「TNFα(ティーエヌエフアルファ)」には,TNFαそのものが皮膚や組織を刺激して炎症を引き起こす直接作用だけでなく,炎症を起こす別のサイトカインの産生を促して,間接的に炎症を引き起こしたり悪化させる作用もあります.
こうしたことから,TNFαは,炎症を引き起こすサイトカインの司令塔≠フような物質と考えられています.

乾癬による関節の痛みや腫れなどの関節症状も「TNFα」が関係しています

  • ・乾癬は,症状の違いによって大きく5つの種類に分けられます.患者さまの数が最も多いのが「尋常性乾癬[じんじょうせいかんせん]」で,約9割がこのタイプの乾癬です.
  • ・一方,皮膚症状に加え,関節の痛みや腫れなどの関節症状を伴う場合もあります.こうしたタイプを「関節症性乾癬[かんせつしょうせいかんせん]」といいます.関節症性乾癬では関節の痛みや腫れ,関節破壊の進行といった症状があらわれますが,血液検査をするとほとんどの場合リウマチ反応はみられません.
  • ・関節症性乾癬における関節症状も,尋常性乾癬と同様に,炎症の司令塔≠ナあるTNFαが中心的な役割を果たしていることが分かっています.このため,尋常性乾癬や関節症性乾癬の治療では,炎症を引き起こすTNFαのはたらきを抑えて炎症を静めることがとても大切です.