【安全性対策】
結核
治療前のスクリーニングにより既感染の有無を確認し,抗TNFα製剤療法が適切か判断することが重要とされています.
十分な問診,インターフェロン-γ遊離試験(IGRA)やツベルクリン反応検査,胸部X線検査あるいは胸部CT検査を行います.
下記を参考に問診を行ってください.
ツベルクリン反応では,結核菌感染か,類似の非結核性抗酸菌感染か,BCG接種の影響であるかの判断はできませんが,発赤や硬結があらわれるのは結核菌の感染やBCGを接種した場合と考えられます. 本邦では発赤の長径が10mm未満を陰性,10mm以上を陽性と判定しています.問題点としては,ヒト型結核菌と類似の非結核性抗酸菌に感染した場合にも陽性を示すことがあります.細胞性免疫が低下した状態ではツベルクリン反応が陰性になることがあります.高齢者においては,ツベルクリン反応の感受性が十分ではない可能性がありますので,画像診断を重視する必要があります*.
*日本結核病学会予防委員会, 日本リウマチ学会(共同声明). 結核. 2004; 79: 747-748.
BCGにはない結核の特異抗原で血液中のリンパ球を刺激し,放出されるインターフェロン-γによって結核感染の有無を診断する血液検査です.このためBCG接種の影響を受けない検査としてその有用性が報告され,感染症法では潜在性結核感染症(従来の化学予防の適応例)の診断法として使用が勧められています.日本においては,クォンティフェロン検査,T-スポット検査が用いられています.
胸部X線検査は肺結核の診断に際し感度の高い検査法であり,現在でも主たる検査として使われています.しかし,肺結核は胸部X線像において多彩な像を示し,非典型例では診断は非常に難しいとされています.画像所見の把握は極めて重要なため,疑わしい場合は,呼吸器専門医あるいは放射線専門医に相談することが勧められます.また,胸部CT検査は,広範な病変がみられる場合,複雑な気道病変や縦隔病変を伴う場合などに非常に有用とされています.特に高分解能CT(HRCT)は,空洞の有無や活動性の評価,感染ルートの検索に有用です.最近では胸部CT検査を比較的容易に行うことができますので,できるだけ胸部CT検査をされることが望まれます.