【安全性対策】
結核

結核の治療

結核菌には自然耐性菌がありますので,通常,作用機序の異なる薬剤を併用します.本邦では初回化学治療の標準療法としては,6ヵ月短期化学療法が普及しています.これはイソニアジド(INH),リファンピシン(RFP),ピラジナミド(PZA)と,エタンブトール(EB)又はストレプトマイシン(SM)の4剤を2ヵ月間投与し,その後4ヵ月間はINH 及びRFPの2剤を併用する治療法です().副作用等でPZAが服用できない場合は,INH,RFP,EBあるいはSMの3剤を6ヵ月投与し,その後3ヵ月間,INH 及びRFPを投与します(EBを加えてもよい).抗TNFα製剤投与時の合併結核でも,この6ヵ月短期化学療法が有用とされています(参照).
再治療では,今までに未使用の抗結核薬を3剤以上,できれば4剤以上併用します.再治療は治療法を誤ると多剤耐性結核を出現させるおそれがありますので,結核専門医に相談することが必要です.
肺外結核の治療は基本的に肺結核と同様です.

▼ 図.6ヵ月短期化学療法スケジュール

図.6ヵ月短期化学療法スケジュール

日本結核病学会(編). 結核症の基礎知識(改訂第4版) V結核の治療より引用

▼ (参考)主な抗結核薬の投与量(連日投与)

薬剤 投与量 副作用 その他
INH 5mg/kg
300mg
肝機能障害,末梢性神経炎,中枢神経障害 末梢神経炎の予防にピリドキシン有効
RFP 10mg/kg
600mg
肝炎,胃腸不快,発疹 尿など体液の橙変
PZA 25mg/kg
1,500mg
肝炎,胃腸不快,高尿酸血症 胎児への影響が未知のため,妊婦には禁忌
EB 20mg/kg
750mg
視神経炎 視力低下を訴えられない小児には禁忌
SM 15mg/kg
750mg
聴神経障害,腎毒性 妊婦には禁忌
腎機能の低下した者や高齢者には減量

上段:成人投与量,下段:最大投与許容量

※本邦承認用法用量外

6ヵ月短期化学療法は現在,治療期間が長く,治療中断や脱落が多く,薬剤耐性菌の出現が懸念されます.このためWHOは確実な服薬と治療の継続を保証するDOTS(直接監視下短期化学療法)を推奨しています1)

*DOTS(Directly Observed Treatment, short course):結核感染者が抗結核薬を服用するところを,保険医療従事者などが直接監視・記録して,結核治療を完了させる治療法.

1)日本結核病学会(編). 結核症の基礎知識(改訂第4版) V結核の治療