続ける

第2回 メイクで明るい表情

見過ごされがちな「命が助かったあとのケア」

以前,病にかかった若い女性にメイクをしたことがあります.彼女は,入院治療によって関節の痛みといった症状は抑えられたものの,薬の副作用で顔にしみができ,むくんだ状態になっていました.体調は回復しましたが,病気になる前とは違う外見になってしまったことを彼女自身が受け入れることができず,気持ちはふさぎがちに.仕事も辞めてしまい,人と会うこと自体が憂うつになっていました.副作用を心配して,薬を飲むのもためらうようになっていたそうです.
そんな彼女に,血流マッサージやデザインテープで,顔のむくみがやわらぎ顔が軽くなるメイクをさせていただいたところ,本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれました.その後は,困ったときはいつでもメイクでカバーできるという安心感から,治療に対しても前向きになり,症状も安定したそう.仕事も再開し社会復帰もできたといいます.
特に女性は,鏡で自分自身の元気で輝いた表情を見ると,自然と前向きな気持ちになるもの.今までメイクを通して出会ったたくさんの笑顔が,「メイクが心の支えになること」を教えてくれました.

少し変わることが,心のリハビリの第1歩

リウマチの症状である,疲れやすさや体のこわばりに悩んでいる人は多いと思います.痛みが強いときなど,今までと同じフルメイクをするのはハードルが高いかもしれません.そんなときには無理をせず,ご自身が気になる所から実践してみてください.メイクによって,少しでも心が明るくなることを願っています.
例えば眉は,顔のイメージを大きく変えます.辛いときや肩に力が入っているときは「きつい眉」に,気持ちが落ち込み悲しいときには「下がった眉」になりがち.ほんの少し描き方のコツを覚えるだけで,印象はアップします.

実践 印象を変えるメイク術

人の印象を大きく変える眉のメイク

眉ひとつで,人の印象は大きく変わります.例えば体調が悪い日など,必要最低限のメイクをする場合におすすめしたいのは眉のメイクです.
理想の眉は,「観音様」の眉の形.観音様をよく見てみると,鼻筋のラインと眉のラインが自然に繋がっていることがわかります.それが,見る人に安心感を与える大きな要素なんです.この形の眉に整えることで,鼻もすっきり見え,上品な印象を作ることができます.

ファンデーションの塗り方

準備

まず理想型の眉の形をご覧下さい.そこからはみ出る余分な毛は,安全カミソリなどを使って整えましょう.自信のない方は眉を描いてからでも大丈夫です.

STEP1:眉山→眉尻

眉山から眉尻に向けて,細い線を重ねるようにして描きます.

STEP2:眉中

ペンシルを寝かせて,面を使って眉中から眉山に向かって,塗り込むように描いていきます.

STEP3:眉中→眉頭

ペンシルの太い面を使って,眉中から眉頭に向かって描きます.眉頭は鼻筋に繋がるようにすると,自然な印象になります.

人の視線は上下左右全方位から

人から受ける視線を想像してみましょう.背が低い人は上から,高い人は下から見られています.自分がどこから見られることが多いかを考え,メイク時はその角度の表情を鏡でチェックしましょう.

ここがポイント
下から受ける視線に要注意

人の顔は,下から見ると「頬のたるみ」や「口角の下がり」が目立ちやすくなり,少し怖い印象になってしまうものです.子どもと会う日や少し高いところから話をするときなど,下から視線を受けるときにメイクをする際は,鏡を顔より下に置いて仕上がりをチェックしましょう.口角が上がって見えるようにリップを塗ったり,眉の形を自然なカーブに整えるだけで,印象はぐんと変わりますよ.