関節リウマチ患者さん向け
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関節リウマチ患者さんを対象としたアンケート調査
(アンケート期間:2009年9月1日〜11月1日)
回答選択肢 | 回答数 | % | |
---|---|---|---|
A | 待ち時間を短くしてほしい | 50 | 23.5% |
B | もっと話を聞いてほしい | 26 | 12.2% |
C | 関節を触って診察してほしい | 24 | 11.3% |
D | 新しい治療法や情報を教えてほしい | 72 | 33.8% |
E | 新しい治療薬を使ってほしい | 27 | 12.7% |
F | その他(記述) | 14 | 6.6% |
合計 | 213 |
国立大学法人北海道大学大学院医学研究院
免疫・代謝内科学教室 教授
渥美 達也 先生
私もリウマチ患者さんにとっては「主治医」の一人,ということもあって,今回のアンケート結果はかなり興味深く拝見させていただきました.
主治医に希望することの第1位が「新しい治療法や情報を教えてほしい」とのこと.確かに,日々の診療では,私たち主治医は患者さんのその日の症状を中心に見ていますので,リウマチ治療の新しい情報を提供するということに対して,限られた診療時間を特別に割くということはあまりないかもしれません.しかも,皆さんがウェブ等を利用され入手された情報量と比較すると,「もっと教えてほしい.十分教えてもらっていない」と感じられるかもしれません.
リウマチ治療は,特にそれがうまくいっていると主治医が感じているときには,長期にわたり同じ治療法を継続する事があり,そのような状況では,「一つでも多くの新しい情報を知りたい」というお気持ちになるのは無理もないことかもしれません.その裏側には,「本当に今の治療法が自分にとって最善なのだろうか?」「もっといい治療法があるのではないか.そうすればもっと良くなるかもしれない」という強い期待もあると思います.
それならば一度,勇気を出して主治医に質問してみてはどうでしょうか? 主治医は患者さんから質問されることによって,「この患者さんは,こういうところに悩んでいたのか,知りたがっていたのか」と,初めて気付くこともあります.「先生に直接は聞きにくい」という場合には,薬剤師に尋ねることも情報を得る良い方法でしょう.
貴重な情報であればこそ,ただ待っていても自分の元にはなかなか集まってこないものです.また,自分で情報収集ができたとしても,その中から本当に必要で正しい医学情報を見分けるのは非常に困難です.皆さんの身近な主治医や医療スタッフをもっともっと活用して,あなたが本当に得たい,有意義な医療情報を入手するようにしてください.リウマチの患者さんの病状はひとりひとり違います.主治医がなぜ多くの治療法のなかから現在の治療法を選んだのかを知ることも,長期に及ぶリウマチ治療の過程できっとプラスになるでしょう.
次に「待ち時間を短くしてほしい」というご意見も多いですね.健康な人でも,待たされるということはかなりストレスになるのですから,皆さんにとって待たされるということはさらにつらいことでしょう.
施設によっては,待ち時間短縮のための色々な取り組みをしていますが,ほとんどの施設では,患者様の辛抱・我慢に頼らざるを得ないのが現状です.大病院になればなるほど,来院する患者さんの数も多くなり,待ち時間も長くなる傾向があります.予約していても,1時間以上待たされることも珍しくないでしょう.
こうした待ち時間が長く延びてしまう状況を防ぐために,普段は近隣のクリニックで受診し,検査等のより専門的な医療行為が必要なときだけ大病院に来ていただく方式への移行が現在も進められています.「どこに自分に適したクリニックがあるかわからない」という方は,主治医の先生に是非ご相談ください.できる限り対応していただけるはずです.
その他,「新しい治療薬を使ってほしい」「もっと話を聞いてほしい」「関節を触って診察してほしい」と続きますが,いずれも皆さんと主治医のコミュニケーションが良くなれば解決することばかりです.「新しい治療法を使って欲しい」といわれても,それが患者さんにフィットした治療法でなければ主治医は使いません.しかし,皆さんと主治医のコミュニケーションさえきちんと取れていれば,主治医側の事情も,患者さんの願いもお互いにわかり合え,胸の奥に秘めている不満の量もきっと減っていくことでしょう.
医療は,患者さんと私たち医療者との信頼関係で成り立っています.とりわけリウマチのように長期にわたる診療においては,信頼関係の深さが治療の成否にとても強くかかわっています.患者さんとの信頼関係を構築するための努力を私たちは惜しみません.