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第5回 自分が関節リウマチ患者であることで、社会的につらいと思うことはどんなことですか?

結果発表と専門医からの解説

関節リウマチ患者さんを対象としたアンケート調査
(アンケート期間:2009年11月2日〜2010年1月29日)

回答結果

  回答選択肢 回答者数(名) %
A 他の人と同じ行動ができない 85 64.4%
B 仕事に支障が生じた 60 45.5%
C 家族に理解してもらえない 30 22.7%
D 恋愛、結婚や妊娠に支障がある 29 22.0%
E 仕事を失ってしまった 28 21.2%
F その他(記述) 21 15.9%

※パーセントは、総回答者数132に対しての回答率

監修者コメント

医療法人 医和基金 戸畑総合病院 病院長
齋藤 和義 先生

今回の「関節リウマチ患者であることで,社会的につらいと思うことはどんなことですか?」という質問は,日常の診療で患者さんから直接意見を聞く機会は少なく,患者さんの日々の社会活動について改めて考えるきっかけとなりました.

最も多かった回答は「他の人と同じ行動ができない」ということでした.周りの健康な人や以前の自分と現状の自分を比べて,時には落胆してしまうこともあるでしょう.仕事をされている方では,そのつらさはより強いものかもしれません.
そのようなつらさを克服するために,今ある自分の力を信じて,できることをひとつずつ積み重ねることで,ぜひ自信を持っていただきたいと思います.たとえば日々の「できたこと」の記録をつづってみてはいかがでしょうか.きっと前向きな気持ちがわいてくることでしょう.

また,自分と同じ悩みを抱える関節リウマチの仲間がいることがわかると気持ちが楽になるものです.患者会などに参加してみたり,闘病記を読んだり,関節リウマチ関連のウェブサイトをのぞいてみたりするのもよい方法でしょう.

次に多かったのは「仕事に支障が生じた」という回答でした.この回答をくださったみなさまは,以前と同じように仕事ができないために,やりきれない気持ちでいらっしゃることかと思います.
難しい決断かもしれませんが,将来にわたりより良い生活を送るためには,仕事をお持ちでもまずは関節リウマチの治療を第一に優先していただきたいと思います.関節リウマチの治療は最近,非常に進歩しており,的確な治療を行うことにより,関節リウマチのために失職する人は少なくなりました.仕事の内容も,負担の少ないものに変えるなどして十分な休息を確保しましょう.無理を続けると病気が悪化することもありますので,仕事も失いかねません.治療で病気が良くなれば,仕事もよりこなせるようになります.

続いて「家族に理解してもらえない」「恋愛,結婚や妊娠に支障がある」の順で回答を多くいただきました.関節リウマチの症状は外見でわからない場合も多いので,確かに周囲の人の理解を得にくいという側面があります.症状やつらさを周囲の人に理解していただくためには,病院でもらったパンフレットやプリントを見てもらう,受診に付き添ってもらう,身体がつらいときに手伝いをお願いするなど,積極的なコミュニケーションをとるのもひとつの方法です.
妊娠,出産については,関節リウマチそのものが悪い影響を及ぼすことはありません.しかし,お薬の調節をしたり,体重が増えても関節は大丈夫かどうかを判断したりする必要がありますので,妊娠を考えられている場合は必ず主治医や看護師にご相談ください.

関節リウマチの治療では,症状を抑えるだけではなく患者さんの生活全般を改善することを目指します.私たちは患者さんの社会的なつらさについても症状と同様に共有し,改善の方法を患者さんと一緒に考えていきたいと考えています.